チョコレートドーナツ
人は誰でもさまざまな悩みと共に、日々を過ごす。
さて、朝ご飯には何を食べようか。冷蔵庫を開けば、中にはハムと卵だけ。
ハムエッグサンドにしようか。それとも、トーストにスクランブルエッグ?
紅茶とコーヒーのどちらを淹れよう。
今日は少しリラックスしたいから紅茶かな。
茶葉はアールグレイ?それともダージリン?..............
こんなささいな悩みですら、決断がつきもので、
無意識でも、意識的でも、人は日々あらゆる選択肢から決断をする。
悩むこととは、きっと、自分が本気で人生を生きている証拠でもある。
人生の分岐点、日々の生活で浮かびあがる問題や課題。
そのひとつひとつに本気で向き合うからこそ悩む。
世界の片隅だろうと、中心だろうと、本気で生きている人は、本気で悩む。
チョコレートドーナツを観終わってすぐに、そんなことを考えた。
シンガーを夢見ながらゲイクラブで日銭を稼ぐルディ(アラン・カミング)。
正義を信じて弁護士になるも、ゲイを隠し続けているポール(ギャレット・ディラハント)。
ダウン症で、薬物依存の母に愛情を受けず育てられた少年マルコ(アイザック・レイヴァ)。
3人は出会い、ひとつの家族になろうと幸せな日々を過ごし始める。
しかし時代は1970年代。
ゲイ差別がまだ激しく、ルディとポールがマルコを引き取ることを世間が許さない。
幸せな日々は続くことなく、マルコは施設に引き取られ、離ればなれに。
衝撃のラストで締めくくられ、何とも言えない気持ちにさせられてしまう。
映画の中のルディは完璧な肝っ玉母さんで、マルコに向ける眼差しも、母性愛が溢れ出している。アラン・カミングの演技力にも脱帽だけど、マルコを演じたアイザック・レイヴァも少ないセリフの中で、見事に表情で喜怒哀楽を演じ分け、愛くるしいマルコの役を更に特別な存在に変えた。
ルディは”思い立ったら即行動派”。
ポールとのデートの帰り道に深夜の街を徘徊するマルコを見つけ、その瞬間から引き取ることだけを考え、ひたすら行動する。
出会ったばかりだったポールとも、すぐにステディな関係になっている。
「悩む暇があったら、とりあえずやっちゃえばいいのよ」とゆわんばかりの行動力。
でも、ルディがそうに至るまで、たくさんの悩みと気付きがあったはず。
悩み続けて、悩む時間をたくさん過ごして、やっとそこに辿り着いたのだとおもう。
(登場人物の自分なりの解釈だけど、、)
夢や希望というと少し大げさかもしれないけれど、
そういうものに本気で向き合うと、いろいろな問題に直面して、悩む。
自分に足りないものに直面したり、
それを補うのに必要なモノを得るためにどうしたらいい?と悩む。
そんなことをたくさん繰り返しているうちに、
一筋の光みたいに、すっと答えがみえてくる。
その答えが残酷なものであっても、素晴らしく前向きなものであっても、
答えを得た次の瞬間から、「その答えをどう受け入れるか」ということでまた人は悩みを抱えることになる。
小さな悩みや、大きな悩み。明るい悩みや、暗い悩み。
たくさんの悩みがあるけれど、
悩んでいるからこそ、というか、
”悩むことがあるからこそ人生”なのだ。
悩みに直面して、まさに泥沼にハマったように、二進も三進もいかない時には
「私の悩みは、○○に比べればちっぽけなもんだよね」
とかそうやって、他人とどうこう比べて判断するのではなく、
「私、本気で生きてるんだ...」と小さく感慨に耽ってみる。
直接の解決には繋がらないけれど、何かがきっと変わるはず。
映画の中で、アラン・カミング演じるルディがラストに歌う曲の中の歌詞も
同じようなことをいっているのではないかな、と思ってみたり。
とにかくこの映画は、1+1=2なのだと言い切らない。
観る人それぞれの解釈がラストをより輝かせるのかも。
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの総称)への
理解も広がりつつある今の時代だからこそ、一度は観ておきたい映画です。
はてさて、今日は週に1度の原宿バー営業日。
今日のおつまみは何にしよう、、と早速悩んでおります。笑
次回は私の超お気に入り映画「ルビー・スパークス」について。
恋愛感満載にひたすら書こう。(いい調子!w)